パテックフィリップとゴンドーロ&ラブリオ社

今回はクロノメトロゴンドーロのご紹介です。
ブラジルコーヒー産業

18世紀初頭、南米大陸最大の面積を持つブラジルはコーヒー産業で経済を大きく発展させていきます。1850年には世界最大の生産国にまで成長します。1920年代には世界のコーヒー市場はほとんどがブラジル産コーヒーによる自然独占の状態にあり、世界シェアのおよそ80%を占めていました。約160年以上にわたって世界最大のコーヒー生産国および輸出国の地位を維持しています。また、米国に次ぐ世界第2位のコーヒー消費国でもあり、高品質が認められた世界一のコーヒー産地を維持しています。
高級時計宝飾店ゴンドーロ&ラブリオ社
ブラジル・リオデジャネイロの高級時計宝飾店ゴンドーロ&ラブリオ社はパテックフィリップと1872年から1927年まで取引先として良好な関係を築き第二次世界大戦の時には、パテックフィリップの生産本数の3分の1を販売していました。
パテックフィリップのラウンド以外で機能がシンプルなものがゴンドーロという名で呼ばれていますが、これは1900年代に、ゴンドーロ&ラブリオ社のためにユニークピース・特別モデルを制作・納品していた事に由来しています。これだけの本数を販売していた背景にはブラジルのコーヒー産業が深く関係してきます。

リオデジャネイロの上流階級180名に限定したパテックフィリップクラブを創設し、巧みな販売戦略で時計の販路を拡大していきます。ブラジルがコーヒー産業によって経済が豊かになっていく中、経済的影響を見越したマーケティングと世界市場の開拓がパテックフィリップの繁栄にも大きく関与しています。当時のリオデジャネイロはコーヒーバブルだったと想像できます。
クロノメトロとは高精度のクロノメーターを指すわけではなく、時計やウォッチ等と同じ意味になり1927年の最終納品まで懐中時計から丸型・クッション型まで様々なタイプのユニークピース・特別モデルがゴンドーロ&ラブリオ社にクロノメトロゴンドーロの名前で納品されています。
CHRONOMETORO GONDORO
既に製造中止になりましたが、文字盤にモデルネームが記載されている希少なシリーズになります。
パテックフィリップの歴史が色濃く反映されている特別なモデルです。トップブランドだからこそ顧客への満足度も特別だったのではないでしょうか。

クロノメトロゴンドーロの名称Ref.5098シリーズは1925年製作されたトノー型モデルが原型とされています。

こちらのプラチナモデルは2007年に発表され、2015年には製造中止になりました。
オリジナルと比べてみると、ケースや竜頭の輪郭、文字盤のプリントが少し太くなり歪みなく整っているのがわかります。この文字盤はオリジナル当時の機械を使用し製作されています。現在ではベテランの職人しか操る事ができないくらい操作が難しく、ギヨーシェ装飾を施す手作業が1枚に2時間以上もかかることから、生産本数が非常に限られていました。

ブレゲ数字のインデックスがふっくらとプリントされた楕円の部分と、一つ一つ熟練の職人が手作業で彫り込んだギヨーシェ装飾は、遠くから見ると同色ですが、光の陰影でくっきりと綺麗な2トーンダイアルが浮かび上がります。

トノーケースが流麗なカーブを描き、サファイアクリスタルもカーブに添って綺麗に削られています。
文字盤中央は平面ですが、12時側と6時側はケースに合わせてわずかに曲げられています。
文字盤上下端を曲げる事で、立体感を引き出すと共に時計全体の曲線に統一感を演出しています。また裏蓋のサファイアクリスタルも緩やかに曲がり、手首のカーブに綺麗に収まります。
パテックフィリップならではの冷間鍛造と研磨の技術が、手で触るだけで特別な高級感が伝わってきます。

パテックフィリップのプラチナモデルには6時位置のケースサイドに小粒のダイヤモンドがセッテイングされています。時計を着けたオーナーには見えますが、対面する方には見せないという奥ゆかしい紳士的な意味合いも持ちながら、手にするオーナーには何とも言えない特別感を演出てくれるお勧めの1本です。
クロノメトロゴンドーロ
Ref.5098P-001
5098用に開発された新キャリバー Ref,25-21REC
パワーリザーブ 約44時間
振動数:28800振動
部品点数:142個
石数:18個



