新型タンクフランセーズの作り込み

カルティエのアイコンウォッチ「タンク」。
派生コレクションを多く持つタンクですが、今回ご紹介する時計は「タンクフランセーズ」です。
2023年、初のフルモデルチェンジが話題となったタンクフランセーズ。主に外装がブラッシュアップされています。
過去モデルとの比較や時代背景を考察しながら、2023年新作のRef.WSTA0067 タンクフランセーズ LMの魅力をお伝えしてまいります。
タンクフランセーズ

初代タンクは1917年に誕生、第一次世界大戦中に創業者のルイ・カルティエが戦車(タンク)から着想を得ました。
ケースサイドとラグが一体化したレクタンギュラーケースで、今でもカルティエを代表するモデルとして人気を博しています。
タンクの魅力の1つは豊富な派生モデルがあること。
例えば、パリ・ロンドン・ニューヨークを拠点に構えていたカルティエは、それぞれの名を冠したコレクションを発表しています。
そのうちの1つであるタンクフランセーズは「フランスのタンク」としてラインナップされました。
タンクフランセーズは1996年誕生。
他のタンクシリーズとの大きな違いは、ブレスレットタイプであること。
基本的に革ベルトのみの展開だったコレクションに、比較的手の届きやすい価格帯のメタルブレスレットという選択をもたらしたのです。
使用シーンを問わないタイムレスなデザインは一躍大ヒット。
ネットの普及や、ハリウッドスターやセレブ達が愛用したことも強い後押しとなり、カルティエにおけるベストセラーの1つとなりました。
1990年代~2000年代の日本

タンクフランセーズがヒットした理由は、時代背景も関係があるかもしれません。
90年代の日本はバブル崩壊後、”一攫千金よりもコツコツと”という風潮を受けて節約ブームが起きるなど人々の意識が変わり始めました。
その結果女性たちの意識にも変革が起こり、既婚未婚問わず働く女性として輝く、成功願望を持つ人が増えました。
80年代から女性の労働意欲は高まり続け97年には男女雇用機会均等法の改正があるなど、政治も女性の社会進出を推進し、共働き世帯が片働き世帯数を上回ります。
これらマインドの変化や社会情勢は身に着けるモノにも影響を与え、時計も例外ではありませんでした。
この時代はユニセックスサイズ、またデザインがマニッシュな時計が多く発表されます。
素材は80年代からバブル期にかけて流行したステンレスとゴールドを組み合わせた「コンビ」とは打って変わり、ステンレスやホワイトゴールドなどのシルバー色が人気に。
そんな中タンクフランセーズは、2000年代を代表する大人の階段を登るシンボルとして、働く女性を中心に手にされたのです。
タンクフランセーズの外装

タンクフランセーズの特徴は、ケースからブレスレットへの流れるような連なり。
これは時計としてだけでなくブレスレットやジュエリーとしても楽しめる要素を含んでいます。
オリジナルモデルの発表当時は製造技術の革新も凄まじく、MIM(Metal Injection Molding:金属粉末射出成形)や、CAD(Computer Aided Design:コンピュータ支援製図)による設計が発展、そして一般企業でも導入され始めます。
これらにより流線的なフォルムや立体的な表現が可能になり、製造の自由度が広がりました。
単調な形状ではないタンクフランセーズも、おそらくこういった当時の最新技術を用いて設計、そして大量生産されたのだと思います。
新型と旧型の比較

左:旧型 右:新型
まず目につくのが文字盤です。
旧型の文字盤はホワイトやアイボリーのマットな質感でしたが、新型はサンレイ仕上げが施されたシルバーダイヤルになりました。
ローマインデックスは輪郭がはっきりした黒のプリントから、シルバーのアプライドインデックスへ。
インデックスと文字盤、そしてケースまで、シルバー色を基調としたデザインは統一感があります。

シルバーの同系色が重なると視認性が不安になりますが、全く問題ありません。
例えばインデックスは、文字盤のサテン仕上げと異なる鏡面仕上げが施されているため、コントラストが保たれています。
またミニッツマーカーにおいては、取り囲むようにスクエア型のラインが彫られていて立体感があります。
むやみに夜光を多用するのではない視認性を確保するための最小限の工夫は、デザイン面を損なわない、むしろ品のある雰囲気を漂わせています。

個人的に驚いたポイントは日付です。
日付ディスクがただのプリントではなく、下地がサンドテクスチャーのような質感になっています。
もしこれが一般的な時計のようにマットな白の日付ディスクを採用しますと、想像以上に数字は浮いてしまうと思います。
また文字盤のサテン仕上げと差をつけることで重たくならず、それでいて文字盤と溶け込むような印象になっています。
よく見ると窓枠の面取りも段差が付けられ、日付ディスクと同じ質感になっています。
一見シンプルに見えるところに、散りばめられたカルティエの工夫が隠されています。

ケースやブレスレットは、よりサテン仕上げが多くなりモダンな印象になりました。
そしてこれまで以上にブレスレットらしく見せるために、伝統的なカボションリューズは一部ケースに埋め込まれています。
元々女性のための時計というイメージが強いタンクフランセーズですが、新型はよりユニセックスにお使いいただけます。
若干サイズが大きくなり、サテン仕上げがメタリックなステンレスに重厚感を与え、より男性らしいデザインに。
と思えばケースのラインは旧型よりもカーブが多く丸みを帯びているため、女性らしい柔らかな一面もあります。
シェイプを重視したアップグレードは、近年の「メンズ」「ウィメンズ」の区別をしない、自分らしいものを選ぶ、ボーダーレスな価値観を尊重できるアイテムになるかもしれません。

いかがでしたでしょうか。
カルティエを代表するタンクコレクションより、新型タンクフランセーズの魅力をご紹介しました。
細部にカルティエのこだわりが宿る素敵な時計です。
20年以上前、オリジナルのタンクフランセーズを手にした女性たちは、刷新されたタンクフランセーズを見てどこか懐かしく、そして新鮮に感じられると思います。
是非、直接手に取って御覧ください。
皆様のご来店を心よりお待ちしております。
【型番(型番)】WSTA0067
【素材】ステンレススティール
【文字盤】シルバー
【ベルト】ブレスレット
【ムーブメント】自動巻き
【ケースサイズ】36.7mm × 30.5mm
【防水性能】日常生活防水
【付属品】箱・保証書
【商品の状態】中古品
【保証】1年



