旅に行きたくなるワールドタイム

【年末のご挨拶】
今年も残すところあとわずかですが、本年も沢山のお客様に支えていただき、クロンヌは無事に一年を過ごすことができました。ご愛顧いただき誠にありがとうございます。
大勢のお客様から大切な時計を買わせていただき、次のオーナー様へ出会いを繋ぐお手伝いをさせていただきました。新年も1人でも多くのお客様に喜んでいただけるように努力して参りますので、ご指導ご鞭撻の程よろしくお願い申し上げます。
皆様 お身体を労って、良い新年をお迎えください。
腕時計には、時刻を表示する以外にも様々な機構がありますが どのブランド、シリーズを見ていても、私が個人的に好きなのがワールドタイムやGMT機構です。
シンプルな3針よりもアクセントが効いているデザインが多く、クロノグラフやパーペチュアルほど見えづらくありません。オシャレでファションが好きな方に人気が高い傾向があります。海外旅行に行く機会が多い、海外の取引先と頻繁に連絡をとる、ワールドカップやオリンピックなど海外開催のスポーツ観戦が好き、な人達に好まれます。
今回はパテックフィリップのワールドタイムをご紹介させていただきます。
タイムゾーンとは
古い時代には、地方それぞれの場所で地方時間が使われていましたが、鉄道網が整備されると国際列車の運行の際に全世界的に標準的な時刻が必要とされはじめました。

Wikipediaより
私達が今住んでいる地球は1884年10月13日の国際子午線会議で、地球を24のタイムゾーンに分けることに決まりました。イギリスのグリニッジ天文台を基点とするグリニッジ子午線が本初子午線に採用されて、その他の地域の標準時(タイムゾーン)が整備されていきました。日本では、1886年に明石市がある東経135度を日本標準時子午線としています。日本時間はグリニッジ標準時よりも9時間早い時間を採用して現在まで使い続けています。時差が+9となります。
今では1時間の差があるロンドンとパリですが、第二次世界大戦(1939年〜1945年)以前までは同一のタイムゾーン地域とされていました。ワールドタイムのディスク上で 24に分割された都市名は、その時代におけるプレステージや重要性により決められています。製作された時代の政治的や経済的背景が色濃く反映されていて興味深いところです。
ルイ・コティエ式 ワールドタイム
現在では多くの時計メーカーが模範しているルイコティエ式のワールドタイムですが、パテックフィリップは1931年から採用しています。その名の通り、ルイコティエ氏が発明した機構になります。氏はジュネーブの時計学校を卒業したあと、アンティークウォッチの修復を手掛けるほど時計職人として優秀でした。名声が広がりアンティークウォッチの管理者に抜擢されますが、ヨーロッパ大恐慌の影響で職を失ってしまいます。郊外のカルージュにある奥さんの文具店の一角に小さな時計工房を構えて、主に文字盤部品の開発と製作を専門としていました。
1931年、ルイコティエ氏は46歳の時に外周にタイムゾーン24の都市名が記されたリングと更に内側に24時間表記のリングを配置する事で昼と夜の区別ができ、中央の時分針と連動して直感的に全てのタイムゾーン時刻が簡単に読み取れる機構を開発し特許を取得しました。
当時の有名な時計メーカーに自身の発明を営業していく中で、パテックフィリップとの運命的な出会いを掴みます。他にはヴァシュロンコンスタンタンやブレゲでもルイコティエ式のワールドタイムが採用されました。
今では考えにくいですが、当時は自身で制作したモジュールを、パテックから送られてきたムーブメントに組み込んで製品化していたそうです。

Ref.96HU サザビーズより
ルイコティエ氏は、針のデザインにも拘りが強く、1937年に制作された初期のワールドタイムを搭載した腕時計と懐中時計には、百合の花をモチーフにした時針や、円に細い針を通した特長的な時針が使われており、Ref.5130でリメイクされています。

Ref.2425 サザビーズより
現在でもプロダクトの根幹としてその精神は引き継がれており、ワールドタイムはデザイン上、針が短くなってしまうことから視認性を確保するために手の込んだデザインを持つ特長があります。
1966年にルイコティエ氏が亡くなったことによりパテックフィリップのコレクションからワールドタイムが姿を消します。工房があったジュネーブ州のカルージュには、氏を偲んでルイコティエと名付けられた公園が今でもあり、地元の子供達の憩いの場として親しまれています。
33年後の1999年に、パテックフィリップはルイコティエ式のワールドタイムを10時位置のボタンひとつで、都市リングと24時間表示のリングを進めることができるカップリング機構へと改良し特許を取得しました。
- 2000年となるミレニアムにワールドタイムRef.5110が復刻されます。

Ref.5110P サザビーズより
- 2006年、アップルハンドを持つRef.5130が発表されます。

Ref.5130P
- 2014年、創業175年を記念してワールドタイムにムーンフェイズを搭載したRef.5575G世界限定1300本で発表されます。

Ref.5575G サザビーズより
・2016年、Ref.5230、Ref.5390が発表されます。

Ref.5230 サザビーズより
Ref.5390サザビーズより
2023年、パテックフィリップウォッチアートグランドエキシビジョン東京で発表されたRef.5330。日付け表示となるガラス製のポインターデイト針が追加されています。

Ref.5330 パテックフィリップより
•ワールドタイムRef.5230P-001

パテックフィリップより
2016年にRef.5130の後継機となるRef.5230が発表されます。
Ref.5130はブレスレットタイプもありスポーツウォッチに近い存在でしたが、Ref.5230は初期のワールドタイムRef.2523のデザインを色濃く継承してよりドレスウォッチに細かくリメイクされています。傾斜を持つフラットなベゼルを持ち、リュウズガードが廃されてケースサイズが38.5mmと1mm小さくなりました。
2022年〜2023年の1年間しか生産されなかったRef.5230P-001は、ワールドタイムでは初めてプラチナケースと青く精巧なサーキュラーパターンのギヨシェ装飾、都市表示ディスクにはわずかにグラデーションがかけられている組み合わせを持っています。
南十字星をイメージされ内側がくり抜かれた時針と、菱形の分針でとても存在感があります。前作同様にCal.240 HUを搭載しパワーリザーブは48時間です。
ストラップには、ヌバック仕上げが施されたカーフに白のステッチが相まって都会的な雰囲気を持つ洗練されたワールドタイムに仕上がっています。
1999年以来パテックフィリップが送り出す全てのプラチナケースの側面にはダイヤモンドがセッティングされています。6時側のケースサイドにオーナー様だけが見えるこの小さな煌めきは、名誉ある勲章であり卓越した品質を証明する証です。プラチナという特別なケースを纏ったワールドタイムは生産自体が非常に少なく、マーケットでもほとんど見かけることのない希少性の高いモデルです。
2024年9月にパテックフィリップでのコンプリートサービス(分解掃除)と新しいストラップへ交換しています。最高の状態で次のオーナー様へご納品するために、未開封の状態となっております。
余談となりますがワールドタイムは、時計史の中では比較的新しい機構となるため技術的な面では、未開拓の分野も多くこれからの進化に未来が明るい機構ではないでしょうか。
飽くなき創造性を追求し続けるパテックフィリップですので、ワールドタイムにパーペチュアルカレンダーや、トゥールビヨンが組み合わさるようなグランドコンプリケーションが発表される日もそう遠くないかもしれません。
【型番(型番)】5230P-001
【素材】 プラチナ
【文字盤】 ブルー
【ベルト】 レザー
【ムーブメント】 Cal.240HU
【ケースサイズ】 38.5mm
【防水性能】 30m防水
【付属品】 箱・保証書
【商品の状態】 USED



