薄型=技術

近年の腕時計の一大ムーブメントはデカ厚ブームでした。40㎜を超える大きさと、存在感のある厚みを持つスポーツウォッチが人気の中心にありました。
しかしそれが少し落ち着きを見せ始めた今、存在感を増しているのが「薄型」です。
とはいえ薄型の時計は最近作られ始めたものではありません。なぜなら昔から、薄型化こそブランドの技術力を示す方法の一つだったからです。
今回はその薄型機械式時計において存在感を示し続けてきたブランド「ピアジェ」の時計をご紹介します。

時計作り、とくにムーブメントからすべてを自社で生産するマニュファクチュールブランドにとって技術力の高さを示すポイントは何があるかというと、まず様々な複雑機構を搭載することが挙げられます。
大の月小の月閏年を全て自動で調整するパーペチュアルカレンダー・時刻を音で知らせるミニッツリピーター・姿勢差による精度のズレを無くすトゥールビヨンの三大機構を搭載したコンプリケーションと言われる時計が最高峰といえるでしょう。
ではさらにその先、どこで技術を示すのかというと、「それをいかに小さく収めるか」になってくるのです。
「何百というパーツからなる精密な機械がこの僅かな大きさの中に詰まっている」という小宇宙的な魅力に惹かれる時計好きは多いと思います。
搭載する機構が増えれば当たり前のようにパーツ数は増えます。単純に考えれば、機械が大きくなります。
つまり、「複雑機構を載せる分大きくなります」が普通なのです。
機械式時計の歴史上、新しい機構が増えるたび、やはり まず最初はムーブメントは厚く大きくなりました。それは致し方ないことです。
そこから、「いかに小さく薄くしていくか」が技術と開発力の見せ所であり、機械式時計の進化の歴史と言えます。
薄型時計
薄型化・小型化で先端技術を長年にわたり競い合ってきたのが ジャガー・ルクルトと、今回ご紹介するピアジェ、そこに突如参戦してきたのが以前ご紹介したブルガリです。
一般的に薄型と言われるのは、ケースの厚みが10mmを切るものでしょうか。
通常、手巻きよりも自動巻の方がローターの厚みがある分少し厚くなります。ローター自体を小さくしたマイクロローターや、ムーブメントの外周を回るよう設計されたペリフェラルローターなどは薄型化の手法ですが、巻上効率を確保する為にまた別に新たな工夫が必要となります。
現在の薄型化・小型化における世界記録は、最も小さいムーブメントがジャガー・ルクルト、最も薄い自動巻ムーブメントがブルガリ、そして最も薄い手巻きムーブメントがピアジェです。
世界最薄 手巻きムーブメント
現在の世界最薄手巻きムーブメントは ピアジェ2020年の新作 「アルティプラノ アルティメート コンセプト」です。その厚さは、ケースを含めて僅かに2mm。
ピアジェが初の薄型時計を生み出したのは1957年。Cal.9Pというそのムーブメントは、その当時で既にムーブメントの厚みが約2mmという完成度でした。
実はこの2mmというキーワードをもとに、Cal.9Pの60周年を記念して誕生したのが「アルティプラノ アルティメート コンセプト」で、2018年のジュネーブサロンでコンセプトモデルとして発表された時は誰もまさか一般の市場流通品としてリリースされるとは思いませんでした。
ピアジェ G0A39111 アルティプラノ

今回ご紹介するは「アルティプラノ」。2014年にピアジェが当時の最薄記録を樹立した時計です。
ケースを含めた厚みは3.65mm。搭載されているムーブメントはCal.900Pです。

ピアジェの時計の薄さにはいくつかの大きな特徴があります。
オフセットされた2番車から成る輪列や、ケースとムーブメントが一体化していること、大きなブリッジ、などが挙げられます。
2番車がセンターにあると香箱と干渉するため、オフセットすることで同じくオフセットした文字盤とも同じ高さに配置することが可能となりました。すべてを同一のレベルに並べることでよりフラットな構造となっています。
ケースとムーブメントが一体となっているというのは、ケースバックを地板として利用しているという構造を指します。また、地板に直接パーツを取り付けていくと後の調整等が難しくなるため、文字盤部分・香箱部分・輪列部分と3つのモジュールとして製造し、それをパズルのように地板兼ケースバックにはめ込んでいくという特殊な製造工程を持っています。
このモジュール化した構造と、大きなブリッジ、その他ケースや風防への様々な工夫により、ここまでの極薄型の時計でありながら堅牢さをもっているのもピアジェの薄型時計の特徴であり、実用にかなう堅牢さと耐久性を持たせることはブランドとしてのこだわりでもあります。
Web Chronos より
この「アルティプラノ」は輪列が完全に可視化されており、文字盤を取り巻くように配置された輪列を表側から鑑賞することが出来ます。ゼンマイが巻き上がるさま、それにより動き出すテンプ、回る歯車などを見ることが出来るのはシースルーバックで裏側から眺めるのとは全く違う感動を与えてくれます。
また、すべてに精密なエングレービングが施されているのはもちろん、面取りとサンレイパターンのサテン仕上げを施されたブラック加工の文字盤・輪列とホワイトゴールドのケースはお互いが引き立て合う見事な色のコントラストで、芸術品のような美しさです。

この芸術性と、時計としての日常使用に耐えうる堅牢さの両立は、ジュエリーブランドとしても優れた技術を持ちつつ長年こだわりを持って薄型時計を作り続けてきたピアジェならではといえるでしょう。
PIAGET 公式より
◆ピアジェ G0A39111 アルティプラノ
WG シルバー文字盤 手巻き レザー
【型番(型番)】G0A39111
【素材 】18Kホワイトゴールド
【文字盤 】シルバー
【ベルト 】レザー
【ムーブメント】 手巻き
【ケースサイズ 】38mm
【防水性能 】日常生活防水
【付属品】箱・国際保証書
【商品の状態 】新品
【保証 】3年



