カルティエの由緒あるデザインコード

展示会「結 MUSUBI」が開催中のカルティエ、足を運ばれた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
1974年、日本初ブティックを原宿にオープンしてから50年を記念して、カルティエと日本、カルティエ現代美術団と日本アーティストという2パートでその絆を紐解きます。
貴重なアーカイブコレクションからゆかりのあるアーティスト作品まで数多く展示されており、点数こそ多くないですが時計も展開されています。
今回はそんな話題のカルティエより、デザインの視点からトーチュをご紹介します。
カルティエのデザイン

(左)サントス ドゥ カルティエ MM
(中央)ミニ ベニュワール ベゼルダイヤ
(右)タンクシノワーズ LM 150本限定
最も定番な腕時計の形といえば、円形です。
ところがカルティエの時計を見てみると、円形は極端に少なく、角型や独特なフォルムが多いことに気付かされます。
これは宝石商ならではの発想なのか、大胆な腕時計デザインに挑んでいることが分かります。
またカルティエの時計には、アイデンティティーを象徴するデザインコードがいくつも存在します。
ローマ数字、ブルースティール針、カボション、レイルウェイミニッツトラック、ギョーシェ彫り。
モデルは違うのに誰が見てもカルティエだと分かる理由がここに隠されているかもしれません。
それぞれ詳しく見てみましょう。

ローマ数字
カルティエはインデックスにローマ数字を多用します。
中心から放射状に並べられ、その傾斜した無駄のないタイポグラフィで文字盤をより引き立てます。
ローマ数字は「0」を表す記号を持たないため計算には不向きとされていますが、時計も0の概念より先に誕生しているため、親和性が非常に高いです。
腕時計に用いられる数字の4は「Ⅳ」ではなく「Ⅰ」を4本並べて表すのが伝統的です。
またローマ数字のひとつに、「CARITIER」のシークレットサインがあり、こちらのトーチュですと7時位置にあるのが確認できます。
これだけ小さくそして正確に刻印することは非常に技術力を要するため、コピー品対策として始められたとされています。
ブルースティール針
スイス発祥の時計製造において、伝統的な熱処理技法を青焼き(ブルーイング)と言い、その加工を施したブルースティール針。
時計製造が盛んなスイスの山岳地帯は1日の気温差が激しく、厳しい気候の中で生じる針の腐食を防ぐために発明されました。
JIS規格のブルーイングには以下のように記されています。
「適切な温度、空気、水蒸気又は化学薬品にさらして、鋼表面に鉄の酸化物皮膜を形成させる処理。(参考)鋼の外観及び耐食性を改善するために行い、表面は、加熱温度によって黄色又は青色を呈する。」
時計職人たちは世代を超えて受け継ぐものとして、腐食を防ぎながら美しく時計を彩るブルースティール針にたどり着きました。

カボション
ドーム型に研磨された宝石をカボションと言います。
時計業界ではリューズの先端に装飾された貴石を指し、カルティエのカボションは通常、モデルによってサファイアかブルースピネルがあしらわれています。
カボションカットというと最も古くからある宝石のカッティング技法は、光の反射ではなく自然な結晶構造を生かしたい際に使われます。
つまり輝きを最大限引き出すように研磨されるダイヤモンドにおけるラウンド ブリリアント カットとは真逆を意味します。
カボションによっては面があるようにカットされていますが、輝きは抑えられ派手さはなく、むしろブルースティール針と似た色合いで統一感があります。
このカボションは、ジュエラーとしてのカルティエと、ウォッチメゾンとしてのカルティエとの繋がりを感じさせます。
レイルウェイミニッツトラック
文字盤に配された分の目盛りを表す線が、鉄道の線路を想起させるデザインから名付けられたレイルウェイミニッツトラック。
アールデコ期の腕時計デザインを代表するディティールです。
ギョーシェ彫り
文字盤に規則的なパターンを彫り込んだエングレービングを指します。
細かな線が波形や放射模様など様々なモチーフを描き、美観としての美しさだけでなく、文字盤の反射を抑制することで視認性を向上させる役割も担います。
カルティエの時計には、これらのデザインコードがモデルごとにバランス良く盛り込まれて、普遍的なデザインを生み出しています。
フォーマルにもカジュアルにも馴染む、先入観にとらわれることなく愛用できるタイムレスなクリエイションです。
トーチュ

カルティエの時計は、タンクやトノー、そしてベニュワールのように、形状やモチーフをモデル名に起用することが多々あります。
トーチュもフランス語で「カメ」を意味し、ケースデザインは柔らかくカーブした2本の曲線がカメの甲羅を想起させます。
あらゆるヒントから美を見いだす術には感服です。
トーチュは1912年に誕生。
サントスデュモン、トノーを経て3番目にコレクションへ追加され、当時ではかなり前衛的なデザインで人々を魅了しました。
元々はメンズ用として生まれたトーチュですがレディースサイズも展開され、こちらは2014年に発表されました。

ローマ数字やブルースティール針など、ここにもカルティエのデザインコードが盛り込まれています。
2針で日付もなく非常にクラシカル、そして珍しいポイントはSMサイズでありながら手巻きであること。
基本的にレディースサイズの展開はほとんどがクオーツモデルです。
しかしこちらは自社製の手巻きムーブメントCal.8970MCを搭載しています。
またゴールド素材ではあるものの小ぶりのサイズ感なので、着用時の重さも気になりません。

いかがでしたでしょうか。
カルティエのデザインと共に、トーチュをご紹介いたしました。
華美な主張が苦手な方でもシーンを選ばずカルティエの意匠を味わうことができます。
腕元の露出が増えるこれからの時期は、レザーストラップで遊ぶのも楽しいのではないでしょうか。
是非、直接手に取って御覧ください。
皆様のご来店を心よりお待ちしております。
◆カルティエ – トーチュ SM
【型番(型番)】W1556361
【素材】18Kホワイトゴールド
【文字盤】シルバー
【ベルト】レザー
【ムーブメント】手巻き
【ケースサイズ】30mm × 23.8mm
【防水性能】日常生活防水
【付属品】箱・保証書
【商品の状態】中古品
【保証】1年



