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素材の特徴を知る

素材の特徴を知るの紹介画像

梅雨が明け、暑い日々が続いていますが皆様いかがお過ごしでしょうか。

以前のブログ記事にて、有名ブランドが特許技術により展開するオリジナル素材についてご紹介いたしました。本日は、より一般的に多く時計に用いられている素材を改めてお伝えしようと思います。
デザインはもちろんですが、どういった使用用途かによって素材の特徴もモデルを選ぶ基準となります。

ぜひ 時計を選ぶ際の参考になさってください。

 

時計の素材はまず大きく2種類に分かれます。貴金属かそれ以外の素材かです。
貴金属の方が素材そのものの価値が高く、したがって時計としても高価になる傾向があります。ドレスウォッチやラグジュアリー感の高いモデルに使用され、ジュエリーとして高い価値を持つハイジュエリー系のウォッチには貴金属が用いられます。

貴金属として時計に用いられるのは主に 金とプラチナがあります。それ以外の素材で現在最も代表的なのはステンレススチールでしょうか。近年はチタンやセラミックを使った時計も多くみられますが、これらはやはりドレスウォッチではなくスポーツモデルに多く用いられ、それにふさわしい特性を持っています。

 

<貴金属>

*金

金には主に3種、 ホワイトゴールド(WG)・イエローゴールド(YG)・ピンクゴールド(PG)があり、ブランドによってはピンクゴールドをローズゴールド(RG)と呼ぶこともあります。
その他ブランドが独自に開発している金も多くありますが、それについて今回は省きます。

前回も触れましたが、金は、時計においてもジュエリーにおいても様々な他の金属(割金という)との合金として使用されます。純粋な金は柔らかすぎて加工品に不向きであるためです。
純粋な金を24金と呼び、時計の素材として一般的なのは金の含有量が75%の「18金(18K)」です。金の耐食性を損なわない程度の混ぜ物を行うことで硬度を維持するとともに、価格を抑えることにもなっています。
この残り25%の割金の素材や配分によって、色味やその他の特性が決まります。
ジュエリーなどにもみられるごく一般的な配分としては、

    *イエローゴールド → 金75% + 銀10~20% +銅5~15%
    *ホワイトゴールド → 金75% + 銀、亜鉛、パラジウム、銅、ニッケルなど25%
    *ピンクゴールド → 金75% + 銀約5% + 銅約20%

硬さとしては合わせる割金の関係で、
イエローゴールド<ホワイトゴールド<ピンクゴールド
の順で硬い素材となるのが一般的です。

金は合金にしたとしても 素材としては比較的柔らかいので、全般的に傷がつきやすいという弱点があります。また、その他の弱点としては、イエローゴールドに於いては 長年使い続けることにより“金焼け・金錆”と呼ばれる変色が起こりやすいこと、これは皮脂や汗に触れ続けることで表面が酸化することが要因と考えられます。ホワイトゴールドは、パラジウムとの合金にすることで白い色を出していますが、そのままではどうしてもわずかに黄色味が残るため、より白く美しくみせるために ロジウムコーティングというメッキが施されているのが一般的です。また、ピンクゴールド・ローズゴールドについては、赤い色味が抜けていきやすいという弱みがあります。

金は傷がつきやすいという弱点があるものの、表面を磨いて元々と同様の輝きを取り戻すことも出来ます。深い傷を取り除くほどの研磨はケースの形状を変えてしまう為おすすめできませんが、軽い研磨でも使用による擦れや小傷はかなり綺麗になります。ただし、ホワイトゴールドに於いては、研磨後に再メッキが必要で、ごく一部分のみ磨くだけというわけにいかないので注意が必要です。

素材の特徴を知るの紹介画像研磨され輝きを取り戻したローズゴールド(ピアジェ G0A43151)

 

この金の弱みである、傷がつきやすい・色が焼ける・退色する・黄色味が残る、などを克服するため、ブランド各社が割金素材や製法などを工夫し独自素材を開発しています。

金はやはりハイジュエリー系の時計に用いられる定番であるダイヤモンドやその他宝石との愛称は抜群で、お互いの輝きを高め合う最高の組合せです。

 

*プラチナ

金以外に時計に用いられる貴金属の代表はプラチナで、その色味から“白金”とも呼ばれます。
硬く、また 耐蝕性が極めて高いことが特徴です。濃塩酸と濃硝酸の混合物である王水という非常に強い酸性の液体でしか溶かすことが出来ません。そのため、皮脂や汗の影響で変色・変質することがないのが最大の特徴です。耐蝕性が高く汗に強いということは、汗により溶けることで発生する金属イオンを原因とする金属アレルギーを起こしづらいことも強みです。

プラチナは金とは異なり含有量を1000分率で表します。純度が高すぎるとやはり強度に劣るため、時計などでは95%程度の含有量であるプラチナ950が多く用いられます。
実は硬度自体は金とさほど差はありませんが、残りの数%をパラジウムなどの合金とすることで強度を著しく上げることが出来ます。
金よりもプラチナの方が高価とされる時期もありましたが、近年では金の価値も上がっており、金属自体の価値にさほど違いはありません。

また、金もプラチナも比重が高く、ある程度の重さがあることが特徴です。そのため、ブレスレットタイプの時計ですと特に重量感があります。その重さは高級感にも感じられ、魅力の1つでもあります。
重さがある分その比重の違いを自動巻のローターに利用するブランドもあります。重い金属を先端に用いることで巻上効率が上がるため、ハイブランドの一部、とくに効率よい巻き上げが必要となるマイクロローターを用いたモデルの於いては22金やプラチナが用いられることもあります。

素材の特徴を知るの紹介画像22Kを用いたヴァシュロンコンスタンタンのローター

 

<貴金属以外>

*ステンレススチール

強度が高く、加工しやすいという点から多くの時計ブランドが採用している素材です。そのタフさからスポーツモデルを中心に展開されていますが、近年ではもう少しラグジュアリーな高級ラインから貴金属製が基本だったドレスウォッチにも用いられつつあります。
特に高級ブランドが展開し、今一番人気のあるジャンルといっても過言ではない“ラグジュアリースポーツ”というジャンルにおいてステンレススチールは重要な素材です。貴金属製よりも傷に強く実用的なモデルという点でステンレススチールが採用され、スーツでも着用できるような高級感を持たせつつ、スポーツウォッチに匹敵する堅牢さをもつ時計“ラグジュアリースポーツ”というジャンルを確立するに至りました。このジャンルではさらに高価格帯の位置づけで貴金属製のモデルも用意されていることが多いですが、圧倒的な人気はステンレスモデルです。

ステンレススチールは、鉄に10.5%以上のクロムなどを含ませた合金素材で、錆や腐食に対する耐性を持ちます。水や汗に強いため、時計以外にも自動車部品や様々なものに用いられます。また、貴金属製よりも硬く 傷がつきにくい点、加工しやすいという点もポイントで、沢山のブランドが採用しています。一般的に貴金属製よりも安価ですが、特有の光沢感が高級感をもたらす点も特徴です。

錆びにくさは、クロムが酸素と結合し、鉄の表面を不動態酸化被膜という耐食性の高い薄い皮膜で覆うことが要因で、この皮膜は酸素があれば何度でも再生されます。逆に酸素がない場所では皮膜が出来ず、ずっと水に触れていたり湿度が高い状態が続いたり、汚れに覆われて酸素に触れない状態が続くと錆びてしまうこともあり、一切錆びない素材というわけではありません。

また、クロムはニッケルと並び金属アレルギーの原因となりやすい素材の為、アレルギーをお持ちの方は注意が必要ですが、アレルギーを起こしにくいよう工夫されたステンレススチールもあります。

 

ステンレススチールにもいくつもの種類があり、一般的に時計の外装に使われる「316L」とは別にスーパーステンレスと呼ばれる「904L」があります。904Lは特に強度と耐食性が高く、耐水性にも極めて優れている為金属アレルギーの要因となる金属イオンの溶け出しが少なく、金属アレルギーになりにくいステンレスと言えます。しかし合成や加工に非常に高い技術が必要なため、ごく一部の限られたブランドしか用いていません。ちなみにロレックスは全てのステンレスモデルに904Lを使用しています。

素材の特徴を知るの紹介画像ロレックス 126710BLRO GMTマスターII

 

*チタン

ステンレスと同様、時計以外の工業製品などにも多く用いられるチタニウムという金属で、時計に用いられたのはごく最近のことです。
チタンは、難削材と呼ばれる加工が難しいとされる金属に分類されます。非常に精密で細かな加工が求められる時計の外装としてはなかなか採用されなかったのが現状です。
初めて製品化したのはIWC、現在はウブロをはじめ多くのブランドが採用しています。
高い耐食性、非磁性(磁気を帯びない)など時計に必要とされる特性を備えています。
また、非常に軽いのが特徴で、デカアツブームが到来し大型化した時計の軽量化に一役買いました。貴金属性に比べて軽量なステンレスに比べてもはるかに軽く、60%ほどの重さしかありません。さらに、チタンは人工関節や医療用機器にも使用されるほど金属アレルギーを起こしづらい素材として有名です。
軽量で、海水に対しても耐性が高い為、ダイバーズウォッチにも多く採用されます。

色味は少しくすんだグレーのような色で、ステンレスのような金属光沢はあまり感じられず、ラグジュアリーな高級感を求めるモデルには採用されない傾向がありました。それゆえ、ラグジュアリーなドレスウォッチがラインナップの中心でありスポーツモデルにおいても貴金属を用いていたブレゲが新しい“マリーン”で初めてチタンをラインナップしたことは話題になりました。

素材の特徴を知るの紹介画像ブレゲ 5517TI/G2/TZ0 マリーン

ポリッシュ加工(光沢仕上げ)が可能で、ステンレスに近い金属光沢を出すことが出来、かつ硬度も高めた、チタンにアルミニウムなどを混ぜた合金「グレード5チタン」と呼ばれるものもあります。ショパールなど、硬度や摩擦への耐性を高めるために特別な加工を施したチタンを用いるブランドもあります。

 

*セラミック

特性上チタンよりもさらに加工が難しく、やっと近年の技術向上で時計の素材として広まってきた素材がセラミックです。
非常に艶やかで煌めくような光沢があり、非常に硬く、表面に傷がつきにくいという大きなメリットがあります。

セラミックの時計として有名なのはシャネルのJ12。それまで工業用・医療用としての利用が一般的だったセラミックを時計の外装に採用し、その輝きがシャネルの高級感と非常にマッチしました。セラミックと言えばブラックが主流でしたが、近年はホワイトをはじめブルーやレッドなど様々なカラー展開があります。
ベゼルに採用することで、大型化した時計の傷のつきやすさというデメリットを解消したのが、ロレックスのデイトナやオーデマピゲのロイヤルオークオフショア。また、ウブロは新素材を積極的に取り入れるブランドであるため早くからセラミックを採用しており、金と合金にした独自素材「マジックゴールド」もあります。

素材の特徴を知るの紹介画像ロレックス 116515LN (ロレックスのベセルは“セラクロムベゼル”と呼ばれる)

ただし 硬度が高すぎるが故、粘り強さには多少難があり、傷はつきづらいが割れ・欠けは起こりうるというデメリットもあります。
また、そもそもセラミックとは無機物を非常に高温で加熱処理をした焼結体で、陶磁器などをさす総称です。金属より軽く、当然ながら水に溶けて金属イオンを生むこともないので金属アレルギーは発生しません。磁気の影響も受けず、経年による変色も起こりませんので非常にメリットの多い素材です。
ただし、加工が非常に難しいため、コストがかかる…つまり価格が高くなります。そして一度欠けや割れを起こしてしまうと再研磨や再加工が困難というデメリットがあります。

 

*カーボン

カーボンとはざっくり言いますと「炭素」のこと。素材としては「炭素原子を構成要素にもつもの」を指します。飛行機の機体やロードバイクなどに用いられていることで有名で、非常に軽く、衝撃に強いという特徴があります。セラミックと同じく金属成分を含まないため金属アレルギーが起きにくく、粘性が高い為セラミックのような欠け方は起こりにくいのも特徴です。

時計の素材としては、「カーボンファイバー」と「フォージドカーボン」という状態のものが多く使われます。カーボンファイバーは炭素繊維を束ねて編んだものを樹脂と組合せて固めたもの。いわゆる合成樹脂プラスチックに近い存在で、「CFRP(炭素繊維強化プラスチック)」と呼ばれます。見た目としてはカーボンファイバーの粒粒とした細かな模様が特徴で、ウブロなどが早くから採用しています。

素材の特徴を知るの紹介画像ウブロ 511.CM.1771.RX (ケース:セラミック 文字盤:カーボン)

 

もう一つ「フォージドカーボン」とは、短い炭素繊維を樹脂と共に高温高圧でプレス成型したものです。高温高圧で作られるため強度が高く、断面から短いカーボン繊維が折り重なる不均一な模様が特徴です。そのため一つとして同じ模様のケースは存在せず、限定モデルなどにも多く採用されます。

素材の特徴を知るの紹介画像ウブロ 641.QK.0110.RX.YOS 70本限定品

 

*サファイヤガラス

サファイヤクリスタルとも呼ばれる通常時計の風防に用いられている素材です。モース硬度という鉱物の硬さを表す基準でダイヤモンドの10に匹敵する9の硬さを持ちます。
粉末状にした原料の酸化アルミニウムを2000℃以上の熱で溶かして結晶化させた人工結晶体のなかで完全なカラーレスのものをサファイヤといて用います。

当然細かな加工は極めて困難で、それをケースに用いた場合当然ながら非常に高価になります。また、硬すぎるためにセラミックと同様粘り気に乏しく、強い衝撃には割れ・欠けが起こります。また、再加工は困難なため修理修復は出来ず、丸ごと交換での対応となる為 修理費用も非常に高額になります。
ウブロが当時透明なサファイヤガラスを用いた限定モデルを発表した際はかなりの話題となりました。現在はカラーサファイヤを用いたモデルも作られています。

素材の特徴を知るの紹介画像ウブロ 505.JX.0120.RT.YOS18

 

素材の特徴を知るの紹介画像ウブロ 441.JY.4909.RT

 

 

 

いかがでしたでしょうか。
この他にも ブランドごとの様々なオリジナル素材や、表面加工などがあります。
ご使用目的や使用環境に合わせて、素材からモデルを絞ってみるのもいいのではないでしょうか。ぜひ時計選びの参考にして頂ければと思います。

 

 

 

 

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