初期 トノーカーベックス 2851S6

フランクミュラーといえば、色鮮やかな文字盤、多彩なケースやサイズを思い起こす方も多いのではないでしょうか。
時間の流れを遊び心あふれる表現で人気を博してきました。
ブランドを代表するモデル、トノーカーベックス。
その歴史や誕生を知ることで今後目にしたときのイメージが変わるかもしれません。
今回はトノーカーベックスの中でも初期モデルRef.2851S6をご紹介いたします。
フランクミュラー

フランクミュラーは、ブレゲの再来と評されるほどの希代の時計師です。
ジュネーブ時計学校に入学すると、3年で修得すべき単位を1年で履修し、首席で卒業。
すでに注目を集めていた若きフランクミュラーは、多くの時計メーカーから声がかかるも全て断り、独立時計師として、まず時計の修復から経験を積んでいきます。
歴史的な名作に触れることで豊富な技術と知識、アイデアを培い、やがて時計製作へと歩み出しました。
初期に創作されたモデルは、いずれも複雑機構を搭載した世界初の腕時計が多く占めています。
これは、懐中時計に搭載するために考案された超複雑機構を小さな腕時計に収めるというコンセプトがあり、その夢は限られた顧客に向けて次々と実現していきました。
フランクミュラーが登録した特許は50件以上にもなり、1980年代のスイス時計産業を見渡しても、これほど高度な技術で複雑機構を備える腕時計を1人の時計師が手掛けた例は、他に見当たりません。
ブランドの誕生は1992年。
高価格帯になればなるほど歴史や伝統が重んじられる時計業界では、新規参入の成功が難しいとされています。
しかしブランド誕生から30年余りのフランクミュラーですが、今や歴史を誇る老舗メーカーと肩を並べるまでに飛躍しました。
創業者がまだ存命かつ現役であることも稀有なことです。
フランクミュラーが評価されている点は、圧倒的な技術力と卓越した美的センス。
誕生した数々の時計は、どこまでも独創的です。
これは家庭環境も大きく影響しています。
フランクミュラーは、スイス人の父親、イタリア人の母親のもとに産まれ、その気質が混在する家庭で育ちました。
緻密で正確さを大切にするスイスらしさと、創造力や芸術性が豊かなイタリアらしさは、まさにフランクミュラーの手掛ける時計からその血を感じられます。
トノーカーベックスの誕生

トノーカーベックスは、全てのラインが曲線で構成されているケースが特徴。
球体から切り出されたような世界初のフォルムは、20世紀のアールデコ様式のクラシカルさを思わせます。
またブランドのアイコンでもあるビザン数字は、文字盤にアヴァンギャルドな印象を与え、現代のスタイリッシュな感覚も併せ持ちます。
どちらもフランクミュラーでなければ決して浮かばなかったアイデアであり、トノーカーベックスはブランドの象徴として君臨しています。
そんなトノーカーベックスは、1986年に開かれたイタリアのビチェンツァの見本市で初めて出展され、フランクミュラー自身の名声とともに世界中を席巻します。
元々は顧客であったイタリア人経営者の奥様に向けて作られたことがきっかけでした。
イタリア人経営者は、複雑時計を作るたびに全て買い取ってくれる上顧客。
ある時一緒に食事をしていると、その奥様から “古めかしい丸形ではなく、オリジナルデザインの時計なら私は喜んで買うわ” と言われます。
その言葉に奮闘し、頭を抱えながらも考案されたフォルムがトノーカーベックスでした。
一般的なトノー型の時計は1920年代に流行したと言われています。
修復師をしていたフランクミュラーにとって馴染みのある形状であったトノー型に、独自の曲線(カーベックス)というアイデアを盛り込むことで全く新しいデザインを誕生させました。
今では世界中で愛され続けているモデルですが、元々は20代の若き独立時計師が手掛けた1本のオーダーメイドから歴史は始まったのです。
2851S6

こちらRef.2851S6は、ブランド創成期のトノーカーベックスです。
他のモデルよりもやや細長い形状をしています。
また裏蓋を止めるビスの位置が、現行モデルと異なります。
現行モデルの裏蓋ビスは、裏蓋の四隅に配されていますが、こちらはベルトの付け根があたるケース上下の側面にあります。
端まで大きな裏蓋には全面にサテン仕上げが施され、不要なデザインが無く、刻印が綺麗に強調されています。

現行の2851S6との違いは、やはりその風合いでしょうか。
ケースサイズは30 x 45mmと変わりませんが、文字盤やインデックスデザインがわずかに異なります。
特にインデックスは少し控えめで余白が多く、インダイヤルは数字の「6」と重なるほど下に位置しているため中心の圧迫感がありません。
プリントもスッキリしているのに重厚で、深い彫りのギョーシェに負けない存在感です。
見れば見るほどフランクミュラーの初期デザインは雰囲気があり、その素晴らしさに浸ってしまいます。

こちらは美しいブルーエナメル文字盤のモデル。
文字盤のエナメル細工は、16世紀頃にフランスから持ち込まれたスイス伝統技法のひとつです。
ネックレスやブローチのような装飾品に使われることが多いでしょうか。
時計では、懐中時計の裏蓋の装飾などに採り入れることはありましたが、フランクミュラーはそれを文字盤に応用しています。
文字盤のベースとなる金属板に、ギョーシェを彫り込み、その上にガラス質の釉薬(ゆうやく)を塗り焼き付けるのですが、合計12層まで繰り返して製作されています。
エナメル細工は手間がかかるだけでなく、これらの技術は貴重で、現在スイスでも携われる最高峰の職人はわずかしかいないと言われています。
ブルーにもパープルにも見えるガラス質の文字盤上を、ピンクゴールドのスペード針がなぞっていく様子は、まさに中世ヨーロッパの美意識が凝縮されているかのようです。

いかがでしたでしょうか。
トノーカーベックスの誕生は、イタリア人経営者の奥様に1本のオーダーを依頼されたことから始まりました。
時を知らせながらも遊び心を忘れない大人の腕時計。
フランクミュラーの創造する時の哲学がそこには詰め込まれていました。
初期に創作されたモデルならではの表情は、写真では少々お伝えしづらいです。
是非、直接手に取って御覧ください。
皆様のご来店を心よりお待ちしております。
◆フランクミュラー – トノーカーベックス シルバー文字盤
【型番(型番)】2851S6
【素材】18Kローズゴールド
【文字盤】シルバー
【ベルト】レザー
【ムーブメント】自動巻き
【ケースサイズ】45mm × 30mm
【防水性能】日常生活防水
【付属品】-
【商品の状態】中古品
【保証】1年
◆フランクミュラー – トノーカーベックス ブルー文字盤
【型番(型番)】2851S6
【素材】18Kピンクゴールド
【文字盤】ブルー
【ベルト】レザー
【ムーブメント】自動巻き
【ケースサイズ】45mm × 30mm
【防水性能】日常生活防水
【付属品】-
【商品の状態】中古品
【保証】1年



